しつけは、子どもが思いつくまましたいようにできる範囲を区切ること。いわば「牧場の柵をつくる作業」です。子どもはその柵の中(牧場)でいろいろ試し、探求し、実験や挑戦、練習を繰り返して自信や達成感を手に入れ、失敗しても立ち直る力をつけていくのですから、牧場は広い方がいい。つまり制限することは少ないほどいいに決まっています。

 ちょっとしたケガやトラブルは大事な経験。経験してこそ学べることはたくさんあると割り切り、事前に止めないで見守る覚悟を決めましょう。ちょっと危ないことも、親が安全な扱い方を教えて何回か一緒にやってみて「やりたい気持ち」を満たしてあげる方が、隠れて危ないことをするリスクを減らせます。お風呂でシャンプー遊びが止まらないなら、一日分だけ別の容器に移しておくのも手。面倒ですが、毎日怒ってやめさせるよりは気分がいいし、気が済むまでやらせてあげればブームはじきに去ります。

 集合住宅で床をドンドン叩くのが困るのなら、親もラップの芯でも持ってタンスやフライパンなどを「これはどんな音?こっちは?」などと楽しく叩いて、床以外の物を叩く音遊びに変えてしまうとか、知恵を絞って「ダメ!」と言うことを減らしましょう。